クリスタEXとPRO、どちらを買おうか迷っている…という人は多いと思います。
たしかに、ソフトを実際に使ってない段階では、両者の違いがはっきりと理解できませんよね。
私も同じように購入段階ではそうでした。
ただ、すでにクリスタを5年以上使ってみると、「PROかEXか」の判断基準を、かんたんに説明することができます。
10ページ以上のマンガを描くなら、EXは必須
最初に結論を言うと、
- 10ページ以上のマンガを描く予定がある人
- 3秒以上のアニメーション作りたい人
は、ぜったいにEXを買うべきだと思っています。
(※PROでも10ページ以上のマンガを制作することはできます。あくまでEXを使っている個人的な目安です。)
クリスタPROとEXの大きな5つの違い
クリスタPROとEXとを比較したときの、大きな違い5つを紹介します。
①価格
まずは価格。
PROとEXの間には、18000円という大きな価格の違いがあります。
PROは5000円と安い価格で買うことができますが、
EXになると2万円を超えてきます。
- PRO/5000円(ダウンロード版)
- EX/23000円(ダウンロード版)
②マンガ作品を一括管理できるかどうか
ここからは機能面に関しての違いです。
まず、非常に大きな違いであると断言できるのは、
マンガ作品の一括管理機能。
たとえば、6ページの短編マンガを描くとします。
PROの場合だと、1ページ1ページの単ページでしか管理(保存)ができません。
それがEXだと、6ページ→1作品という管理ができます。
この一括管理できることが、なぜそれほど便利なのかというと、
- ページの追加
- ページの削除
- ページの並び替え
- ページの一括書き出し
……などが、とても素早く簡単にできるんです。
EXの力が必要になってくる段階
「新しいページを追加したい」という程度なら、PROでも十分です。
ですがたとえば、
- 9ページ目と10ページ目の間にページを追加したい
- ○ページ目と○ページ目を入れ替えたい
- いきなり10ページくらい追加したい
- 全ページを一気に書き出したい
といった複雑なことや、何ページ分もまとめて一気に作業したい場合には、EXの力が必要です。
EXの場合、これくらいの作業なら、ほんの数秒〜数分で完了しますが、
PROの機能だけでしようとすると、まとめて編集や管理ができないので、一枚一枚、編集、保存、書き出しをしなければいけません。
やりたいことによっては、EXの2倍~10倍ほどの時間と手間がかかっても不思議ではありません。(実際に試してみました)
つまり、マンガを制作するにあたっての手間をなるべく省きたい人にはEXは欠かせない……というわけです。
③セリフの一括管理ができるか
そして、2つ目はセリフの一括管理機能です。
先ほどのように、6ページのマンガを描いた場合、
↑この図のような管理をすることになると書きました。
これ、保存場所だけでなく、セリフの管理にも違いがあるんです。
PROだと1ページごとにセリフを入力・管理しなければいけません。
しかしEXは、6ページ分すべてのセリフを一括管理してくれるんですね。
これをストーリーエディタといいます。
マンガを描いたことがない人や・クリスタを触ったことがない人は、この機能に実感がわかないかもしれません。
しかし、マンガを描いている人にとってこの『ストーリーエディタ』は、なければやっていけない…と断言してもいいくらいの効率的な機能です。
この機能がないPROだと、セリフ入力に3倍くらい手間がかかるんですよね
たとえば「1ページ目と3ページ目のセリフの修正をしたい」という場合。
(↑こちらの画像はEXの管理画面になります。)
「PRO」の場合だと、1ページごとにファイル開いてセリフを修正…これを繰り返えさなければいけません。
しかし「EX」だと、ストーリーエディタを開くだけで、すべてのページのセリフが表示されるので↓
何ページ目であろうと簡単にセリフを修正することができます。
セリフの修正作業を例に出しましたが、もちろん入力するときも同じです。
最初、漫画にセリフやモノローグなどの文字を打ち込む際も、
PROの場合だと1ページごとに開いて文字を入力しなければいけませんが、
EXの場合だとストーリーエディタによって1作品分の文字(セリフやモノローグ等)が編集できるので、
スマホのメモ帳やEvernoteなどに打ってある文字を、さくっとコピペすることもできるんです。
ものすごく時短になります
④3Dデータ・2DデータをLT変換できるかどうか
4つ目は、3Dデータ・(写真などの)2DデータをLT変換できるかどうかの違いです。
LT変換とは、3Dモデルや写真をモノクロ画像に変換する機能です。
↓写真からモノクロ画へ
↓3Dからモノクロ画へ
近年、マンガの背景やイラストの背景を描くとき、写真や3Dデータを加工して使用する人もいます。
そんなときに必要なのがこの機能なのですが、これもEXのみにある機能です。
⑤3秒以上のアニメーションを制作できるか
最後はアニメーションです。
クリップスタジオペイントでは、イラストやマンガのほかにアニメーションが制作できる機能があります。
しかし、PROとEXの違いを考えるとき、漫画より制限がかかっているのがアニメーションの機能なんです。
マンガに関してはものすごく手間がかかったり、使えない機能が一部あるとはいえ、一応PROでも制作することができます。
ですがアニメーションに関しては、PROの場合、24フレームまでのアニメーションしか制作することができません。
時間で書くと、1秒8フレームで3秒間。
3秒以上のアニメーションをつくりたい場合はEXが必要です。
3秒間のアニメしか制作できないとなると、GIFのようなちょっとしたアニメくらいしか作れませんね。。
ですから、クリスタでアニメを制作したいという人は、EX一択と言っても過言ではないでしょう。
【決め手】マンガやアニメを制作するならEX
決め手はこちらです。
- マンガを描く手間を省きたい
- 何十ページもある中編漫画を描く予定がある
- 何話分もある長編ストーリー漫画を描く予定がある
- 3Dデータを背景に使いたい
- 写真から線画を抽出して背景などに使いたい
- アニメーションをつくる予定がある
上記に1つでも当てはまるなら、CLIP STUDIO PAINT EX。
上記に一つも当てはまらない人は、基本的にCLIP STUDIO PAINT PROで事足ります。
つまり、
- 背景は自分で描く(写真や3Dから抽出しない)
- 数ページくらいのマンガしか描かない
- イラストしか描く予定がない
という人はPROで大丈夫かと。
PROを購入してからEXを買ってもいい
それに一度、PROを購入してみて、「やっぱりEXのほうがよかったな…」と思ったときに、EXを購入する。
……それでも全然遅くはありません。
クリスタEXを買うか、PROを買うかを迷う必要はありません。
なぜかというと、PROを買ったとしてもEXにアップグレードてきるからです。
PROを持っていると優待価格でEXを購入できます
proを購入後にEXを買う場合、普通に計算すると、
で、28000円必要になります。
しかし、これは間違いです。
PROを持っている人は優待価格でEXを買うことができるからです。
つまり、
- EXを真っ先に買う
- PROを買ってからEXにアップグレードする
このどちらを選んでも、値段は23000円。
かわらないのです
値段だけ見れば、どっちを買ってもOK
つまり値段だけ見れば、結果的にはどっちから買っても同じなんですね。
いきなり23000円を払うのは勇気が必要ですし、ためしにPROを買ってからアップグレードするのもいいでしょう。
イラストを描くだけならPROで十分ですし、マンガもPROで描くことはできますし。
EXの機能は、+aの機能なので
「マンガ描くのにハマって、管理や編集が大変だからもっと時短したい!!」
となってから、EXを買うという手もぜんぜんアリだと思います。
ただし、このPROを先に購入してEXにアップグレードするという方法には、デメリットもあります。
PROから入って、EXにアップグレードすることのデメリット
これはマンガを制作する場合に限った話ですが、PROで制作した昔のマンガを、EXで再編集しようとすると、とにかく面倒くさいのです。
PROとEXでは、データの管理の仕方が違うということは先ほど書きました。
簡単に言うと、何十ページある作品でも、EXはラクに管理・編集ができる、ということ。
EXにアップグレードした後、EXのラクラクな機能に慣れた段階で、PROのデータを編集しようとすると、とにかく大変なんです。
たとえるなら、タクシーや電車に乗ることを覚えたあとで、徒歩に戻るような面倒くささや、
自動食器洗い機を覚えたあとで、手洗いに戻らなきゃいけないような面倒くささ、でしょうか。(笑)
「なんでこんなに手間がかかるんだ」
「EXで作成したデータだったら、この5分の1くらいのスピードでできるのに」
……と頭を抱えることになります。
実際に、(自分が間違えて作成してしまった)PROの漫画データを編集したことがあるのですが、あまりに時間がかかって、うんざりしたのを覚えています。
ちなみに私はEXを買いました
ちなみに私は最初から「CLIP STUDIO PAINT EX」を買いました。
なぜなら、クリスタを購入したのが、漫画を描く目的のためだったからです。
なので、EXの機能をつねに使っている状態です。
正直、今から「PROを使え」と言われたとしたら、非常に面倒くさいですし、時間効率も大幅に悪くなるので、気が重くなるレベル。
漫画をストレスなく描きたい人は、EXを買ったほうがいい
なので、参考までに書きますが、
漫画家目指すとか、
同人誌バンバン描いて売りたいとか、
完全に趣味で漫画を描こうと思っている人でも、20~30ページ以上の漫画を描きたい…と思っている人。
そういう人は「2万円か~ちょっと高い」と思っても、最初からEXを使うことをおすすめします。
いったんPROでデータを作ってしまうと、あとで編集や管理が大変ですし、「マンガ制作」が、ものすごくラクになりますよ。